庭の盆栽が無くなっていく!?盆栽泥棒l防犯カメラにより解決!ちょっといい話

南天の木電気屋の日常

最近、家の盆栽の数が減ってきている気がする。そんな相談をお客さんから受けた。
僕は電気屋で働いている。警察ではない。
喉元まで出かかった言葉をぐっと飲みこんで、話を聞きにいった。

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趣味は盆栽

盆栽は、お爺さんが趣味で始めた物だった。始めは自宅の庭の一角を使っていた。
それが、今や家の周りが盆栽だらけで、軽くジャングルのようになっている。
盆栽にも色々な種類があり、松や梅などの、「ど定番」と言われる物から、
【南天の木】などの縁起物と呼ばれるものもあるそうだ。
どうやら南天の木は、【苦難を転じる】というのが語源らしい。
これは長丁場になりそうだなと心の中で覚悟した。

盆栽にかける情熱

正直、盆栽の話よりも、防犯の話をしたいのだが、話が止まらない。
お爺さんは盆栽を始めてから、次第に植物が好きになり、
柿、ミカン、ザクロ、ブドウと、次々と手を出していったそうだ。
極めるともう、盆栽関係ないのである。
植物ならオッケーらしい。
家のジャングル化の理由がやっと、わかった気がする。

盆栽の価値

盆栽を極めて来ると、盆栽の値段も詳しくなるそうだ。
100年以上昔の木には、100万円以上の価値があり、どこからか、情報を聞きつけては、盆栽オタクが家にやってくるそうだ。
やれ売ってくれだの、近くで見せて欲しいだの、写真撮らせて下さいといった事を言ってくるのだ。
少し前のテレビで1億円の盆栽があると知った。盆栽ビジネスすごい。

盆栽が減ってきた

そもそも、ジャングルから木が一本消えたとして、誰が気が付けるのだろう?
生い茂る木々の中にある盆栽の周りにはツタが絡まり、さながら題名の付いていない現代アートの様だ。
題名をつけるなら、何が良いかな。【百年後の古民家】とかどうだろう。
そんな事を考えながら、外を眺めていると、ある事に気がついた。
若い男性が家から門へ向かって行く姿が見えた。

孫の存在

お爺さんには同居する孫がいた。
仕事を辞めて、今は家の手伝いをしているそうだ。
「ニート」は、禁句である。決して口に出してはいけない。
何故なら、その言葉を発した瞬間、その場の空気が「終わる」からだ。

孫の経済状況

孫の話は、誰でも好きだ。話題に困ったり、場の空気が悪くなってきても、孫の話をするだけで明るくなる。
お孫さんは現在、仕事を辞めた後の貯金を切り崩して、どこかへ遊びに出かけてるらしい。
早く仕事が見つかると良いですね。と、当たり障りのない話をしていたと思う。

防犯の意識の低さ

田舎の町は、防犯という概念がまず無い。
あったとしても極一部のよそ者だけ。
昔からの地元民では鍵かけてるお宅の方が少ないくらいだ。
泥棒は死角や、暗がりを好む。ゴキブリみたいな奴らだ。
ジャングル化したこの家は、奴らにとって格好の餌食になっていてもおかしくない。

ふとした疑問

しかし、そもそも盆栽の価値が判っている人間でなければ、「盗みたいリスト」に載らないのでは無いだろうか?
泥棒だって人間である、無駄に重くて大きな盆栽を担いでいくのは嫌だろう。それに盆栽は嫌でも目立つ。
「どうも、クロネコヤマトでーす。」では誤魔化せないハズだ
そんなリスクを侵すだろうか?

盆栽とニートと僕

なんやかんや話し合って、防災の意識が低いよねっていう事をやんわりと伝えた。
今の家電は、インターホンと防犯カメラが連動するシステムがある。
家のインターホンを押された時に録画が開始され、それとは別にカメラの映像も録画できちゃうのだ。
モニターはインターホンの画面を使うので、別に用意しなくて良いし、SDカード使えばパソコンに記録を残すことも出来る。
何より、機械音痴のお爺ちゃんが使えるのが良いよねっていう事で即決で決まった。

犯人は現場に戻ってくる

いよいよ、設置工事の日。この日もお孫さんは家に居た。
工事は電源を引いてきたり、撮影した時に死角が無いか調整が必要なので思っていたよりも時間がかかっていた。
脚立から、下を覗くと心配そうな顔をしたお孫さんの姿が見えた。
汗だくになって居た僕を心配していたのだろう。
ありがたい、缶コーヒーの差し入れだ。
縁側で、お孫さんと僕とで少し休憩する事にした。

ニートと僕

「あの、さっきから何を付けているんですか?」
どうやら、お孫さんには話してなかったらしい。
僕は、これまでの経緯を丁寧に話した。
お孫さんからキャンセルの申し立てがあったら、困るからだ。
すると説明を聞いている孫の顔色が変わってきた。
「マズい、ここまで来てキャンセルはキツイ」
しかし孫の口から出た言葉は意外な物だった
「それ、僕です」
え?
なんと、盆栽泥棒はお孫さんだったのである。
「内緒にしといてくれ、キャンセルはしない。」そう頼み込んで来た孫。
お爺さんを裏切ってしまい申し訳ないという思いと罪悪感からか今にも泣き出しそうな顔をしている。
僕は、彼の懺悔を心の奥にしまい込み、「内緒にするから、もう止めなさい」と強めに伝えた。

南天の木

しばらくして、お爺さんから電話がかかってきた。
「お陰さんで泥棒が捕まったよ。孫も就職先が見っかって元気にやってるよ」
僕は、その言葉を聞いて全てを理解した。
あの時のお孫さんが就職し、今までの事を自分からお爺さんに伝えることが出来たのだ

もしかして、お爺さんは最初から全て知っていたのではないか?
だけど、上手く叱る言葉が見つからなかった。
だから、少し大げさにして、自分から止めるように促したかった。
そういう意味を込めて僕への依頼だったのかもしれない。

ふと、僕はあの時聞いた南天の木の話を思い出していた。
「苦難を転じる」縁起物の木
災い転じて福となす。
盆栽って深いナァ。

少しだけ盆栽が好きになった

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