農家さんから嫌がらせの相談を受けた話

古民家電気屋の日常

ハウスが嫌がらせによって破られているかもしれないと農家のお婆さんから相談を受けた。

夏野菜で有名なトマトだが、ハウス栽培をすることで一年中栽培する事が出来ている。

今回は、そのハウスを管理している農家さんと僕の話です

※事実のまま書いてしまうと嫌な思いをされる方もいるかもしれないので、話の中で出てくる内容を一部、ぼかしています。

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農家の苦労

冬場のハウス栽培には暖房がかかせない。燃料を使って暖房を入れておかなければ作物が育たないからだ。

燃料費も馬鹿にできないので、冬場に限っては販売単価を上げる事も考えたけれども、
いつも楽しみにしているお客さんの為に価格を変えずにやってきた。

正直な話、冬場に夏時期と同じ価格で販売するのは無理がある。もし何かがあれば、赤字になるギリギリのラインなのだ。

例えば、大きな台風が来た時にビニールハウスが飛ばされてしまったり、トタン屋根が当たって破れてしまう事もある。

被害にあってしまうとハウスの復旧費用の他に、作ってきた作物がダメになってしまうので収入もワンシーズン無くなってしまうのだ。

一生懸命にお客さんの為と思って育ててきた野菜を嫌がらせによってダメにされてしまうのは、心が苦しくなる。

農家のお婆さんの人柄

お婆さんは本当に良い人でとても恨まれるような事なんてないと思っていた。いつもご近所に採れ過ぎた野菜を配ってたりしたんだ。だから、今回の事は本当に残念に思う。

嫌がらせがエスカレート

最初は、風や動物によるものだろうと思っていたハウスの被害。お金もかけられないので防水テープで応急的に補修をしていた。

補修をしたテープが剥がされていたり、新しい傷が出来ても、まさか嫌がらせによるものだなんて夢にも思わなかった。

被害はハウスだけに収まらなかった。

昔お爺さんが庭に植えたバラの木が枯れ始めた。

お爺さんの形見で植えた木。それが日に日に枯れていく、僕も悲しい気持ちになった。

ハウスへの嫌がらせ

犯人を特定しなければ、根本的な解決にならない。そう考えた僕たちはビニールハウスに防犯カメラを付ける事を提案した。

ビニールハウスへ防犯カメラを付けるには、電気が必要だ。空調に使っていた電源から分けるようにしたが、それでもやっぱり費用がかかってしまう。

完璧に納得は出来ない。それはそうだ。僕も被害にあってる側が費用を被るのはおかしいと思う。二つ返事とまではいかなかったが、これ以上被害が大きくなる前に、イタズラをしている犯人をハッキリさせたかった事もあり、防犯カメラを設置する事が決定した。

犯人が防犯カメラに写っていた

「なんで?」最初に思ったのは単純な疑問だった。お婆さんに聞くと、お隣のお爺さんは少し認知が始まっていて、最近はおかしな行動が目立っていたそうだ。

カメラに映っていた映像を見て、僕はやるせない気持ちになった。

嫌がらせをしている事を許せない気持ちが湧いたのと同時に、言ってもどうにもならない事が解ってしまったからだ。

田舎のご近所づきあいは、想像以上に難しい。下手に注意すれば余計に問題が悪化する事もある。

嫌がらせの原因

やはり、お隣のお爺さんだった。
僕は何回も繰り返し再生して確認をしていた、ホントは間違っていて欲しかったんだと思う。

嫌がらせは農家さんにとって生活がかかっているから僕も真剣だった。

今回の場合は本人に話したとして理解してもらえるんだろうか?恐らく、ご本人に話しても上手く伝わらないのではないか?だから、ご家族に伝えなくてはいけない。
証拠の記録映像の再生に僕も同行する事になった。

話を聞くと、大昔に隣接している土地の境界線が変わってしまい、自分たちの土地が減ってしまった事を常日頃から不満に思っていた事が解った。

大昔というのは、自分たちの生きてない頃の話。そもそも、境界線が変わったというのも、目安にしていたのが「木」だったので本当かどうかも解らない。

親世代から代々、その話を聞かされているうちに、憎しみの感情が元々あったそうです。最近になって感情が抑制できなくなり、嫌がらせをしてしまった。という事らしい。

何が悲しいって、その感情で動いた結果、被害が出てるんです。お金も出てしまっているし、枯れてしまった植物は元に戻らない。

トマトは収穫までに3か月かかるそうです。もし仮にハウスの作物が全滅していたら3か月間、収入0の状態が続く可能性もあったんです。怖ろしい事だと思いませんか?

冷静に話し合いで解決できたかもしれないのに、一時の感情で相手の生活を脅かすのは許されない行為だと思う。

それでもお婆さんは、相手の事を悪く言わなかった。

相手が言い終わるまで黙って聞いていた。

感情で喋ってしまったら、止まらなくなってしまいそうだったと、後から聞いた。

本当は許せない気持ちがあったんだろうと思う。けれど、感情で喋ってしまったらお互いに嫌な気持ちになってしまうから、グッと堪えていたんだと思う。

警察沙汰にはしなかった

これが正しかったのか、わからない。

お隣さんとの付き合いが昔からあるから、今までの間に良くしてもらった事や、今回の事と色々考えて、被害に遭われた方が選んだのだから、僕は尊重したいと思う。

今になって思えば、防犯カメラの設置を提案した時に、少し考えていたのは、若干こうなる事を予想してたのかもしれない。なるべく穏便に解決するやり方をあの時から考えていたではないか?

もし万が一犯人が自分の思い当たる人物と違っていたら、話し合いでは無く対策を練るべきだ。そういう事もお客さんの中で考えていたのかもしれない。

追伸

もし、ご近所付き合いで上手く行ってないのであれば、まずはキチンと話し合いをするべきだと思います。防犯カメラに写っていたからと言って警察に話していたら、もっと過激な行動になって居たかもしれません。

あくまで、防犯カメラの映像は証拠。解決するのは人間です。

まったく知らない人がハウスや家に入ってきていた場合は別ですよ。その時はすぐに警察に相談してください。

道具を使う人間が、ちゃんと考えて、臨機応変に対応するのが大事なんじゃないかなと、僕は思ったんです。

最後まで読んで頂きありがとうございます。

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